2009年03月08日

○プルーサーマルで使われるMOX燃料の危険性

これまでの日本の原子炉で使われてきたウラン燃料と、プルサーマルで使われるMOX燃料が放射能を比較すると、γ線でウランの20倍、中性子線で1万倍、α線で15万倍という、とてつもない危険性を持っています。

玄海原発に搬入するときに、もし事故があれば被害は想像を絶する大惨事になります。

さらに、これを玄海原発のような加圧四水型原子炉でプルサーマル燃焼させた場合、「使用後のMOX燃料(高レベル放射性廃棄物)がどれほど危険な中性子を出し、また発熱量がどれほど大きいか、中性子放出率は、19.7倍 発熱量は2.48倍。

MOX燃料がとてつもなく危険すぎて、再処理できないのです。


○玄海原発で生まれる使用済みMOX燃料はどこへゆくか

この超危険な使用済みMOX燃料は最後はどうなるか、九州の住民はきちんと知っておかなければなりません。

全国で拒否されてきた高レベル放射性廃棄物より、桁違いに危険な物質だからです。

プルサーマル計画の人体実験場と呼ばれる佐賀県玄海原発では、これが大問題となり、九州の住民と九州電力のあいだで、次のような順序でやりとりが行われました。

高レベル廃棄物とプルサーマル


「プルサーマルを実施すれば」「危険性の高い 発熱量の大きな使用済みMOX燃料が発生する」

2004年7月13日「使用済みMOX燃料は発熱量が高くて、地下に埋められる温度に下がるまで約500年かかる」と核燃料サイクル開発機構が発表

「使用済みMOX燃料は玄海町から持ち出せないのではないか」と佐賀県が質問状

「使用済みMOX燃料は、種々の選択肢から電気事業者が決定していくものと考えられる」
というのが国の方針―と九州電力が回答(計画未定)(電力会社と国といずれが責任か)

「使用済みMOX燃料は当分、サイトの使用済み貯蔵プールに保管しておく
 原子力文化振興財団のプルサーマル広報用パンフ(きわめて無責任な計画)」

「第二再処理工場で処理する」関西電力  (100%不可能な計画)

【結論】


「使用済みMOX燃料の処分は、第二再処理工場か、直接処分か、原発サイト内保管か、何も決まっていない。責任主体も決まっていない。

このような無責任な計画では、地元民はプルサーマルを絶対に受け入れられない。

【なぜプルサーマルを強行しようとするのか】


「六ヶ所村。再処理工場の運転を強行するための口実(看板)にすぎない。
 真相は「プルトニウムの利用先がどこにもない」

「高レベル放射性廃棄物の最終処分場がどこにもない」ということである


ここにある「使用済みMOX燃料を再処理する」計画(たとえば六ヶ所村第二歳処理工場)は100%不可能な絵空事であります。結局核燃料サイクル開発機構が公言したとおり、発熱量が高いため、500年間は地下に埋めることもできず、サイト=玄海原発の敷地で保管しなければならない。

500年前といえば、室町時代に「応仁の乱」が起こって京の都が丸焼けになったあと、足利幕府滅亡に向かった時代であります。

織田信長が生まれる20年以上も前のことです。

そんなものを、佐賀県民が500年間、じっと保管していろというのです。

これから500年後に、九州電力は間違いなく、このホットな廃棄物を抱いて、この世から消えているでしょう。

そうなると、日本が廃墟となって、国があるかどうかもわからない。自民党なぞあるわけがありません。

だからこそ、これまで九州では、その死の灰の墓場をつくろうと、福岡県二丈町、長崎県対馬市、長崎県新上五島町、宮崎県南郷町熊本県天草郡御所浦町鹿児島県笠沙町鹿児島県奄美宇検村と、次々に高レベル放射性廃棄物最終処分場の誘致計画が持ち上がったのです。

次回につづく
posted by 院長 at 16:06 | Comment(0) | TrackBack(1) | 日記

2009年03月07日

プルサーマル、ここに登場

前述までに述べた高速増殖炉が将来、プルトニウムを増殖することは100%あり得ないことが判明し、高速増殖炉という言葉が電力業界でも死語となった。そこにもんじゅ事故ほぼ1年後の1997年1月から、プルサーマル計画なるものが、いきなり表舞台に登場してきたのです。

プルサーマルとは、プルトニウム燃料を軽水炉で核分裂させる発電法のことです

これに使われる混合燃料はもんじゅと同じようにMOX燃料と呼ばれています。

こうした一連の原子力産業用語には、すべて共通点があります。

【使われてきた用語】     【正しい名称】
 プルサーマル       → プルトニウム燃焼
 MOX燃料         → プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料
 動燃           → 動力炉・核燃料開発事業団
 サイクル機構       → 核燃料サイクル開発機構
 使用済み燃料       → 使用済み核燃料
 高レベル廃棄物      → 高レベル放射性廃棄物
 特定放射性廃棄物最終処分 → 高レベル放射性廃棄物最終処分
 原子力発電環境整備機構  → 高レベル放射性廃棄物最終処分事業者
 原子力安全委員会     → 原子力危険性審査委員会
 原子炉安全専門審査会   → 原子炉危険性専門審査会

動力炉・核燃料開発事業団は、通常の略し方では動核となるはずだが、「核」を一文字飛ばして動燃と称した意図から一見してわかるとおり、いずれも危険性を示す肝心の言葉「核」「プルトニウム」「放射性」「高レベル」などが故意に抜け落ちるように工夫されてきました。

最大の問題となっている高レベル放射性廃棄物を地底処分する事業者が、2000年3月の閣議決定で「原子力発電環境整備機構」と、まるで自然保護団体のような見当違いの名称を与えられることになったのは、日本全土でどれほど高レベル放射性廃棄物が嫌われているかを当事者自身が承知しているからです。

使用済み燃料も消し炭と間違える呼び方であります。

動燃の後身である核燃料サイクル開発機構は自称「サイクル機構」と略してきたが、これでは自転車のリサイクル業者と間違えるという理由から、新聞では一般に「核燃機構」の略称が使われてきました。

日本の軽水炉では、前述のように核分裂で飛び出した高速中性子が、水中を透過し、ウラン235の核分裂を起こしやすい中性子(熱中性子)に減速する方法をとってきました。

プルサーマルでは、そのウラン燃料のかなりの部分を最初からプルトニウム燃料に置き換え、従来の軽水炉を運転しようというわけです。

プルトニウム(plutonium)と熱中性子(thermar neutron)を組み合わせた和製英語がプルサーマルであります。

ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(mixed oxide of uranium and plutonium)を略してMOX燃料と呼び、プルトニウムの言葉を隠したことからして怪しげです。

プルトニウム燃焼の危険性はどこにあるか。

次号に続きます。
posted by 院長 at 17:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年03月06日

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本題に入る前に、かずよしさんがすばらしいことを自らのブログで発信していたので、僕も一緒になろうと思い、写真を掲載しました。

廉太君が残したもの

廉太君は拡張型心筋症で、わずか12歳で1月24日に体と魂がお別れして、天国に行ってしまいました。

廉太君が「愛犬、マーブルが雲になって遊びにきてくれた」と大喜びで撮影したものです。

「勇気と優しさと幸せを運ぶ犬の雲」

僕たちに廉太君が犬の雲で、教えてくれていることに心をうたれました。

廉太君のご冥福をお祈り申し上げます。


本題に入りますね。

○プルトニウム増殖の理論は事実上破綻した

□現在、電力業界で、高速増殖炉の成功を信じる人間はほとんどいません。

それは、技術とコストによる本質的な問題にあります。

「核分裂しないウランを利用してプルトニウムを増殖する」という核反応そのものが、実際の増殖炉リサイクルの中で効率的に起こらないことが判明したからです。

近年の知見によれば、高速増殖炉が無事故で運転されても、プルトニウムが100倍になるのではなく、90年後にプルトニウムがようやく2倍になる可能性があるにすぎないといいます。

この驚くべき事実は、1993年5月23日にNHKスペシャル「プルトニウム大国・日本」で電力会社サイドの予測として紹介され、のと動燃の幹部も認めるに至っています。

増殖率が90年で2倍になるということは、銀行の複利計算と同様に考えれば、利率0.0078であり、現在の日本の貯金金利と同じくほぼゼロということであります。実質的に増殖しないのです。

さらに最大の壁は、プルトニウムのリサイクルを達成するには、数十基という大量の大型増殖炉が必要となり、この建設・稼動は絶対不可能なのです。

そしてもう一つの大きな問題は、「増殖炉から発生する使用済み核燃料(使用済みMOX燃料)」を再処理する技術が日本にないことです。

この化学処理に成功しなければ、プルトニウム原料は得られず、プルトニウム・リサイクルのシナリオ自体がなりたたないのです。

なぜ使用済みMOX燃料を再処理できないのか。

この理由は、MOX燃料を使うプルサーマルでも同じなので、次のプルサーマルの項で述べます。

次回に続く。
posted by 院長 at 15:49 | Comment(0) | TrackBack(2) | 日記