2009年03月07日

報道されない『原子力の不都合な真実』6

プルサーマル、ここに登場

前述までに述べた高速増殖炉が将来、プルトニウムを増殖することは100%あり得ないことが判明し、高速増殖炉という言葉が電力業界でも死語となった。そこにもんじゅ事故ほぼ1年後の1997年1月から、プルサーマル計画なるものが、いきなり表舞台に登場してきたのです。

プルサーマルとは、プルトニウム燃料を軽水炉で核分裂させる発電法のことです

これに使われる混合燃料はもんじゅと同じようにMOX燃料と呼ばれています。

こうした一連の原子力産業用語には、すべて共通点があります。

【使われてきた用語】     【正しい名称】
 プルサーマル       → プルトニウム燃焼
 MOX燃料         → プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料
 動燃           → 動力炉・核燃料開発事業団
 サイクル機構       → 核燃料サイクル開発機構
 使用済み燃料       → 使用済み核燃料
 高レベル廃棄物      → 高レベル放射性廃棄物
 特定放射性廃棄物最終処分 → 高レベル放射性廃棄物最終処分
 原子力発電環境整備機構  → 高レベル放射性廃棄物最終処分事業者
 原子力安全委員会     → 原子力危険性審査委員会
 原子炉安全専門審査会   → 原子炉危険性専門審査会

動力炉・核燃料開発事業団は、通常の略し方では動核となるはずだが、「核」を一文字飛ばして動燃と称した意図から一見してわかるとおり、いずれも危険性を示す肝心の言葉「核」「プルトニウム」「放射性」「高レベル」などが故意に抜け落ちるように工夫されてきました。

最大の問題となっている高レベル放射性廃棄物を地底処分する事業者が、2000年3月の閣議決定で「原子力発電環境整備機構」と、まるで自然保護団体のような見当違いの名称を与えられることになったのは、日本全土でどれほど高レベル放射性廃棄物が嫌われているかを当事者自身が承知しているからです。

使用済み燃料も消し炭と間違える呼び方であります。

動燃の後身である核燃料サイクル開発機構は自称「サイクル機構」と略してきたが、これでは自転車のリサイクル業者と間違えるという理由から、新聞では一般に「核燃機構」の略称が使われてきました。

日本の軽水炉では、前述のように核分裂で飛び出した高速中性子が、水中を透過し、ウラン235の核分裂を起こしやすい中性子(熱中性子)に減速する方法をとってきました。

プルサーマルでは、そのウラン燃料のかなりの部分を最初からプルトニウム燃料に置き換え、従来の軽水炉を運転しようというわけです。

プルトニウム(plutonium)と熱中性子(thermar neutron)を組み合わせた和製英語がプルサーマルであります。

ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(mixed oxide of uranium and plutonium)を略してMOX燃料と呼び、プルトニウムの言葉を隠したことからして怪しげです。

プルトニウム燃焼の危険性はどこにあるか。

次号に続きます。
posted by 院長 at 17:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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