2009年03月12日

●結論

○青森県の六ヶ所再処理工場がまともに動きもしない状態で、プルトニウム利用はありえない。

○もともと六ヶ所村で取り出されるプルトニウムは、それを高速増殖炉に入れ、プルトニウムを倍増しなければ、意味のない物質なのです。

その高速増殖炉計画も100%ありえないために、苦し紛れに、六ヶ所村の再処理工場運転の口実として生み出した計画が、プルサーマルです。

○技術がないまま六箇所再処理工場を強引に運転しようとするのは、全国の原子炉で発生して行き場のない高レベルほ放射性廃棄物の最終処分場が、北海道幌延町で拒否されたため、当面は、青森県にそれを押しつける(事実上は最終処分場となる)スケジュールを進めなければ、全国の原子炉の運転がままならないのです。

いま、玄海原発を皮切りに始動するプルサーマル計画によって、九州を高レベル放射性廃棄物の最終処分場にする危険性が一挙に高まったと断言します。

○軽水炉で生み出される核分裂性プルトニウムの量はウラン燃料1トン当たり、34kgのウラン235から、死の灰が34kg生成され、核分裂性プルトニウムが7kg生まれるだけです。

このプルトニウム7kgすべてをリサイクルして使っても、7/34=0.2の燃料が増えるにすぎないのです。実際にはそれより低くなり、資源のリサイクルは、とってつけた口実に過ぎません。

六ヶ所再処理工場の運転に必要な再処理費とMOX燃料加工費の合計は年金が破綻した国家において12兆1900億円にも達する天文学的コストです。

使用済み核燃料1トンあたりの再処理費用は4億円に達し、フランス・イギリスに委託した再処理コストの二倍の高さであります。

さらにプルトニウムをすべてリサイクルに使ったとしても、同量の発電で使用するウラン燃料であれば、、わずか9000億円ですみます。一銭の得にもなりません。

高レベル放射性廃棄物処分場を確保するために住民にウソをついて、9000億円のために12兆円以上の金を浪費する電力業界は、ただのバカとしかいいようがありません。

○なぜ、その愚かなプルサーマルと再処理をしなければならないか?

○なぜ、商業用として成り立たない増殖炉を運転しようとするのか?

○高レベル放射性廃棄物最終処分場のほかにも、何か目的があるのではないか?


その答えは、ただ一つしか残りません。日本の核兵器用プルトニウムの確保なのです。

その愚かな目的のために、佐賀県民〜その周辺の福岡県〜長崎県民が犠牲になろうとしています。

「核兵器原料を保有しないという国際公約」を守るには、これ以上、六ヶ所村の再処理で新たにプルトニウムを取り出さないことが絶対の必要条件です。

これは、プルサーマルと再処理工場の断念を意味します。それだけが、電力会社に残された選択肢です。

では、すでにフランス・イギリスに委託して取り出してしまった日本の核兵器材料プルトニウムをどのように管理すればよいか。

この答えは実に簡単です。

純粋なプルトニウムに、不純物を大量に混合して焼結し、核兵器に使えないようにすればよいのです。

「プルサーマル運転の目的は核兵器原料プルトニウムの消化にあり、核兵器原料プルトニウムを発生する再処理工場の目的は、プルサーマルにある」というのは、おかしな話です。いずれかをやめれば、どちらも必要なくなるのです。

このように、蛇が自分の尻尾を呑みこむような話しを、まともに受けて議論する人間の頭は、完全に狂っています。

怒るべきは、人体実験にかけられようとしている九州すべての住民なのです。

九州電力は、従来の軽水炉でウラン燃料を燃やした場合でも、プルトニウムは燃焼していた、と言うが、プルサーマルの場合は、これが平均で9%、玄海では従来より一桁多く、ほとんど10%以上であるから、比較にならないほど危険なのです。

1964年5月27日策定

原子炉立地審査指針

科学技術庁長官・佐藤栄作を委員長とする原子力委員会の石川一郎・有沢広巳・兼重寛九郎(原子力委員長代理で実質的な最高責任者)・駒形作次(古河電気工業顧問)西村熊雄(特命全権大使)竹田栄一(東京工業大学教授)が「原子力立地審査指針およびその適用に関する判断のめやすについて」とする基準をさくていした。

この指針では「地震が多発する場所に原発を建設してはならない」と定めていません。

その第一項「原子炉立地審査指針」の2「立地審査の指針」2-2において、「原子炉からある距離の範囲内であって、非居住地域の外側の地帯は、低人口帯であること。ここにいう「ある距離の範囲」としては、仮想事故の場合、何らの処置も講じなければ、その範囲にいる公衆に著しい放射線災害を与えるかもしれないと判断される範囲をとるものとし、「低人口地帯」とは、著しい放射線災害を与えないために、適切な措置を講じうる環境にある地帯(例えば、人口密度の低い地帯)をいうものとする。」とさだめた。


原子炉立地審査指針によれば、人口密度の高い大都市には立地してはならない、としてあります。

言い換えれば、大事故は起こりえるので、低人口地帯(過疎地)の人間であれば著しい放射線災害を受けても致し方ない、とする内容です。


プルサーマルによる大事故の可能性は、すでに前述で明らかにしたように、それが起こった場合に、法律上、「末必の故意」に該当する重大な刑事犯罪として裁かれるものでしょう。九州の住民は、そのことを佐賀県知事、九州電力首脳、原子力安全・保安院の当該責任者に対して内容証明分で告知して、「それでもなお100%安全である」と言い得るかどうか、あらかじめ責任の所在を確認しておく必要があります。


ここまで読まれて、みなさんは、どう思われましたか?

「へえ、そうなんだ」で終わりですか?

そうではなく、健康被害だけでなく、自分たちの子供たちにも大きく影響します。

みんなの力で、プルサーマル計画を止めたいと僕は思っています。

みんなで、この事実を広めて、「プルサーマル計画を止めましょう。」

「1人の1000歩より、1000人の1歩」>

次回につづく


posted by 院長 at 17:46 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2009年03月11日

燃料棒の破損が炉心溶融事故を起こしやすい

玄海原発と同じ加圧水型を主流とするフランスの体験では、長期にわたってプルトニウム燃料を核分裂させると、燃料棒の内部でガス発生が顕著になり、燃料棒を破裂させる危険性の高いことが1994年に明らかにされました。

サンローランB1号機とB2号機(92.1万キロワット)から取り出したプルトニウム混合燃料棒を検査した結果、通常のウラン燃料に比べて、ガスの発生率が異常に高くなり、燃料ペレットの中心部に大きな空洞が形成されたのです。

空洞は、ヘリウムガスなどの発生によるものと考えられており、これにより、燃料ペレットが破壊され、燃料棒の被覆管が破裂するおそれがあります。

燃料棒の破裂は、そのまま炉心溶融という末期的事故につながる最も危険な現象であります。

そして、1997年には、カブリ炉でのプルサーマル実験中に、実際に燃料棒が破裂して破片が飛び散り、その重大事故の可能性が証明されて、プルサーマル計画の縮小へと向かったのです。

日本ではほとんどの危険性を評価する実証するデータがない

電力会社は、「日本にはプルサーマル運転の経験がある」と説明してきましたが、事実はまったく異なります。

加圧水型では1988〜1991年に美浜1号(34.0万キロワット)で4体のプルトニウム燃料、沸騰水型では1986〜1990年に敦賀1号(35.7万キロワット)で2体のプルトニウム燃料集合体をテストしただけで、ごくわずかな量を短期間使用した小実験であります。

それを基にコンピューター解析しただけで、「安全」と断定しているのだから恐ろしい。

おそれられている核暴走は、出力の大きさと、プルトニウム燃料〜ウラン燃料間の相互の影響度(燃料棒の配置)と、どれぐらい核分裂させたかという燃焼度、プルトニウム濃度によって、大きく変化します。

これら4つの因子(パラメーター)を組み合わせただけで、4次元の高度解析が必要になり、コンピューター・プログラムだけで危険性を判断することが不可能な領域なのです。

プルサーマルで計画されてきたプルトニウム使用量は高速増殖炉“もんじゅ”級の1トン以上であり、玄海3号炉では、プルトニウムを2トン炉心に装荷する未経験の危険な人体実験なのです。

美浜と敦賀における過去の小実験データには、本格的プルサーマル運転での過酷な使用条件が含まれていないから、実証データに該当しません。

そのような数値をコンピューターに入力しても、暴走事故の判断データにはならないのです。

しかも、この解析データは、いまだ公開されず、評価結果は著しく信頼性にかけています。

ここまで述べた危険性は驚いたことに、経済産業省の原子力安全・保安委員が玄海プルサーマルについて安全を強弁した資料にもすべて書かれており、しかもなぜ安全かという説得できる説明が一切ありません。

次回につづく
posted by 院長 at 13:59 | Comment(2) | TrackBack(2) | 日記

2009年03月09日

今日は、「ありがとう」の日って知ってました。3月9日で39、つまりサンキューでありがとうっていいますね。

一日のうちに何回ありがとうの言葉を口にするのでしょう?

常に感謝の心を抱いて互いに協力し合ってこそ、信頼が養われ真の発展がが生まれてくるものだと思っています。

なぜプルサーマルを強行したいのか

前述で述べてきたように、原子力産業がプルサーマル計画を打ち出してきた裏には、末期的な状況が見えます。

それは全国の原子力発電所から発生する使用済み核燃料=高レベル放射性廃棄物の最終処分場がないことであります。

宮崎県南郷町で持ち上がった使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」計画とは、中間貯蔵を口実に、一度入れば絶対に出てゆかない最終保管の墓場なのです。

全国の原子炉の運転を続けるため、青森県にすべての放射性廃棄物を集めようと目論んだ電力業界は、六ヶ所再処理工場を看板にしました。

再処理工場が建設されれば、地元に様々な名目でお金が落ちます。そうなると、地元の県議会が容認します。住民はいやいやながら、金を無心する麻薬づけの奴隷となり、1995年4月からフランス・イギリスから日本に返還される高レベル放射性廃棄物を受け入れ、続いて、急いで巨大プールを建設して、1998年から使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設計画が進められ、青森県は死の灰の墓場になりつつあります。

しかしその間に高速増殖炉もんじゅが事故を起こしたため、六ヶ所再処理工場のプルトニウム抽出の口実が失われて、とまどった電気事業連合会が、急遽打ち上げた花火がプルサーマル計画というプルトニウム利用の方針だったのです。

再処理の必要性がなくなれば、すべての計画が水の泡と帰すので、看板をおろせないのです。

現在、六ヶ所再処理工場の本格的運転は、ほぼ不可能になっています。

ガラス固化の技術がないのに再処理を強行したため、危険な爆発性高レベル放射性廃液がタンクにたまり続けてきました

しかも、六ヶ所村の工場には直下に活断層が走っていることが明らかになり、もし大地震があれば日本は廃墟にする絶望的な状況を迎えたのです。

プルサーマル運転の危険性

□核暴走しやすいプルトニウムが大事故を早める

原子力安全委員会の原子炉安全専門審査会は、プルサーマル計画について「安全性に問題はない」と承認したが、プルトニウム燃料が暴走して、炉心溶融という最悪の原子炉事故を発生させる可能性が高いのです。

プルトニウムが大量に使用される場合には、プルトニウムが中性子を大量に吸収し、その周囲の中性子が減っているため、いざ緊急時に、中性子を吸収して核分裂を停止させる制御棒を挿入しても停止機能が遅れます。

プルサーマル運転中に地震が発生すれば、出力上昇は100分の1秒単位で急速に進行するので、ごくわずかな停止の遅れであっても、そのままチェルノブイリ型の大事故に突入する恐れが高いのです。

ウランを燃焼するためにつくられた原子炉を使って、予定にないプルトニウム燃料を使うほど無謀なことはありません。

プルトニウムが核ジャックの核の対象となるのは、ウランより原爆に利用しやすい、つまり核分裂しやすいからです。

原子力安全委員会の学者たちは、危険性を審査する能力がゼロなのです。

従来のウラン燃料でも、核分裂しないウラン238がウラン239に変化して核分裂するため、同様の現象は進行しました。

そのため電力会社は、プルトニウムは普通の原子炉でも使われている」とプルサーマルの安全性を宣言してきたのです。しかし、この説明は、科学的な意味で、ウソなのです。

軽水炉ではプルトニウムの核分裂がすべての燃料棒でほぼ均一に起こったのに対して、玄海プルサーマルでは不均一にプルトニウム燃料(MOX燃料)を配置し、これまでとは比較にならない高濃度(軽水炉の10倍)のプルトニウムであるため、暴走の危険性」が著しく高まるという事実が故意に隠されているのです。

従来のウラン燃料を使用する原子炉では、運転中のプルトニウム濃度は最大でも1%程度でありました。

ところが、玄海プルサーマルでは、原子炉の中に最初から10.6%のプルトニウムを入れて運転されます。

その結果、ヘリウムなどのガス発生が特に大きくなります。

フランスのカリブ試験炉では、燃料棒が破裂しているのであります。


次回に続く
posted by 院長 at 15:51 | Comment(2) | TrackBack(1) | 日記