2009年03月11日

報道されない『原子力の不都合な真実』9

燃料棒の破損が炉心溶融事故を起こしやすい

玄海原発と同じ加圧水型を主流とするフランスの体験では、長期にわたってプルトニウム燃料を核分裂させると、燃料棒の内部でガス発生が顕著になり、燃料棒を破裂させる危険性の高いことが1994年に明らかにされました。

サンローランB1号機とB2号機(92.1万キロワット)から取り出したプルトニウム混合燃料棒を検査した結果、通常のウラン燃料に比べて、ガスの発生率が異常に高くなり、燃料ペレットの中心部に大きな空洞が形成されたのです。

空洞は、ヘリウムガスなどの発生によるものと考えられており、これにより、燃料ペレットが破壊され、燃料棒の被覆管が破裂するおそれがあります。

燃料棒の破裂は、そのまま炉心溶融という末期的事故につながる最も危険な現象であります。

そして、1997年には、カブリ炉でのプルサーマル実験中に、実際に燃料棒が破裂して破片が飛び散り、その重大事故の可能性が証明されて、プルサーマル計画の縮小へと向かったのです。

日本ではほとんどの危険性を評価する実証するデータがない

電力会社は、「日本にはプルサーマル運転の経験がある」と説明してきましたが、事実はまったく異なります。

加圧水型では1988〜1991年に美浜1号(34.0万キロワット)で4体のプルトニウム燃料、沸騰水型では1986〜1990年に敦賀1号(35.7万キロワット)で2体のプルトニウム燃料集合体をテストしただけで、ごくわずかな量を短期間使用した小実験であります。

それを基にコンピューター解析しただけで、「安全」と断定しているのだから恐ろしい。

おそれられている核暴走は、出力の大きさと、プルトニウム燃料〜ウラン燃料間の相互の影響度(燃料棒の配置)と、どれぐらい核分裂させたかという燃焼度、プルトニウム濃度によって、大きく変化します。

これら4つの因子(パラメーター)を組み合わせただけで、4次元の高度解析が必要になり、コンピューター・プログラムだけで危険性を判断することが不可能な領域なのです。

プルサーマルで計画されてきたプルトニウム使用量は高速増殖炉“もんじゅ”級の1トン以上であり、玄海3号炉では、プルトニウムを2トン炉心に装荷する未経験の危険な人体実験なのです。

美浜と敦賀における過去の小実験データには、本格的プルサーマル運転での過酷な使用条件が含まれていないから、実証データに該当しません。

そのような数値をコンピューターに入力しても、暴走事故の判断データにはならないのです。

しかも、この解析データは、いまだ公開されず、評価結果は著しく信頼性にかけています。

ここまで述べた危険性は驚いたことに、経済産業省の原子力安全・保安委員が玄海プルサーマルについて安全を強弁した資料にもすべて書かれており、しかもなぜ安全かという説得できる説明が一切ありません。

次回につづく
posted by 院長 at 13:59 | Comment(2) | TrackBack(2) | 日記
この記事へのコメント
>小林ボディ

僕もはじめはピンとこなかったけど、講演などを聞いているととんでもないくらい恐ろしい計画です。

明日は総論を書く予定です。

浪費社会も改善しないと犯罪も減らないですよね。

昭和40年代くらいにもどらないといけないかも…。
Posted by マック at 2009年03月11日 23:48
いつも勉強させてもらってます。
知れば知るほど怖いですね。
佐賀県民が正しい知識を持って
パンドラの箱を開けないように
正しい判断をしないといけませんね。
浪費社会を変えていく事も必要ですが・・
Posted by 小林ボディ at 2009年03月11日 22:29
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